村上隆レビュー:より不穏なスタイルへの歓迎すべき復帰 - 英ガーディアン紙


英ガーディアン紙のウェブサイトtheguardian.comは、11日、日本の芸術家・村上隆の展覧会を批評する「村上隆レビュー:より不穏なスタイルへの歓迎すべき復帰」という記事を掲載しました。
村上隆は、11月10日から、米NY市のガゴシアンギャラリーにおいて、2011年の東日本大震災と福島原発事故をモチーフとする"In the Land of the Dead, Stepping on the Tail of a Rainbow"(死者の地において、虹の尾を踏む)と題する個展を開いています。
記事は、NY在住の美術批評家ジェイソン・ファラゴ(Jason Farago)によるもので、村上隆は、学生時代に反原発運動に関っていたこともあり、「よりタフで、より不穏なスタイルへの歓迎すべき復帰である」とファラゴは評価しています。

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ジェイソン・ファラゴは、村上隆について、「現代アートの世界で、意見の分かれる存在」と紹介している。
ハイスタイルとロースタイルを融合させた点において、村上を評価する人もいるが、その一方で、村上の商業主義的傾向やメディアの注目を集めたがる性格を批判する人もいる。
ファラゴは、「今回の個展は、すべての村上の批判者を納得させうるものではない」としながらも、「村上が、本質的にはシリアスな芸術家であることに対する懐疑論者を説得するための、長い道のりを歩き始めている」と評価している。

Takashi Murakami review: a welcome return to a more disturbing style | theguardian.com

Takashi Murakami今回の個展には、海外メディアの多くが注目しています。
ニューヨークタイムズ紙のウェブサイトThe New York Times Style Magazineの10日付の記事では、「宗教はまがい物であり偽善だと思っていたが、大震災以後は、宗教やおとぎ話は必要なものだと思うようになった」との村上隆のコメントを紹介し、これが今回の展示のスタートポイントになっている、と解説しています。
In a New Show, Takashi Murakami Visits the Dark Side
また、6日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、これまで常に美術の市場や産業、ハイアートとローアートの融合について考えてきた村上隆が、「これからはストーリーが重要だ」と、物語を語ることに専心するようになったことを示す村上隆のコメントを紹介しています。
Takashi Murakami Brings His Darker Works to New York - WSJ
村上隆のこの個展に関して、海外のメディアでは多く報道されているのですが、日本ではほとんど報道されていないことが気にかかります。
芸術起業論

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