ユニクロの香港に上場している納入業者が"労働者の生命を危険にさらしている" | 香港SCMP紙


香港の英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP、南華早報)は、12日、「ユニクロの香港に上場している納入業者が"労働者の生命を危険にさらしている"」という記事を掲載しました。
これは、香港に拠点を持つ労働者の権利保護団体Students and Scholars Against Corporate Misbehaviour (Sacom)が、ユニクロの工場に潜入調査を行い、その結果を公表したレポートを元に書かれた記事です。
その報告によると、ユニクロへ衣料品を納入しているPacific Textiles社とLuen Thai社は、長時間労働を強いるなど、労働者の生命を危険にさらしていることが明らかになりました。

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Sacomが行った、ユニクロ関連の工場への潜入調査の結果、中国本土にあるPacific Textiles社の工場では1日12時間労働に加えて134時間の残業が求められていることがわかった。

また、Luen Thai社の工場では、1日11時間労働に加えて、112時間の残業が求められていることもわかったという。また、その他の労働環境も劣悪なものだったという。

ユニクロは、両工場の問題は把握しており、「問題を解決するように両工場に求めている」とのコメントを発表している。

Uniqlo's Hong Kong-listed suppliers 'putting workers lives in danger' | South China Morning Post

Uniqlo’s rivals この報告を受けて、Atlantic Media社のデジタルメディア「Quartz(クオーツ)」は、11日、「あなたのユニクロのスキニー・ジーンズは、暗い過去を持っているかもしれない」というタイトルの記事を掲載しました。その中で、「今回の報道は、Zara、H&M、Gapなどを打ち負かそうとするユニクロの野望の妨げになるかもしれない」と指摘しています。
Your Uniqlo skinny jeans may have a dark past - Quartz
この記事が掲載された同日に、ユニクロを運営するファーストリテイリングは、「中国のユニクロ取引先縫製工場および素材工場における労働環境に関する指摘について」という声明を、日本語、英語、中国語で発表しました。同社はSACOMによる報告書の内容を、昨年末の時点で把握しており、当該2工場に対して独自の調査を実施した結果、「長時間労働などいくつかの問題点について事実であること」が確認されたそうで、2工場に対して早急な改善を求めたとのことです。
In Response to Working Condition Claims at UNIQLO Garment and Textile Suppliers in China | FAST RETAILING CO., LTD.
ユニクロは、日本国内でも社員の過重労働が取り沙汰されたこともあり、ふたたび、労働問題に注目が集まっています。海外の納入業者といえども、工場の労働者を酷使して利益をあげている、と見られるのは、国際化をめざすアパレルメーカーとしては、その企業イメージも損なうことになるでしょう。